東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2016年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2017年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2017年度の目標6.業績目録7.あとがき

1. はじめに

巻頭言

さて、2016年は泌尿器科にとっては大きな変革の年となり、来年に向けてさらなる発展、飛躍の息吹が感じられる年となりました。

昨年、中沢先生のご退任に向け後任の診療部長の選任が行われ、近藤先生が東医療センターの泌尿器科診療部長および教授に選任されました。中沢先生はご定年まではまだ時間があったのですが、かねてより早期引退のご希望もあり、中沢先生のご希望に沿う形で東医療センター側と交渉を進めておりました。東医療センターでは移転、建て替えに伴い移転先予定の足立区からは新病院では地域のがん診療拠点、災害拠点、小児・周産期医療拠点、救命救急診療拠点などのいくつかの高度医療の推進が求められており、がん治療の専門家が望まれていましたため、近藤先生の推薦となった次第です。

わたくしが教授に就任してからは巴先生に続き2人目の教室からの新教授誕生となりました。近藤先生は、2017年1月に東医療センターに赴任され東医療センターでのロボット手術導入など新たな診療体制確立・改革のために動き始めており、周りからは近藤先生のことは「黒船が来た」と言われているとのことです。

近藤先生に東医療センターへの赴任に伴い、本院はかなり手薄な状況となっており本院としては大ピンチではありますが逆に若い人たちが頑張る場面も増えており、高木先生を中心に若手の先生が育ちつつあります。今年は沢山の若手の先生が伸びてくるものと大いに期待しています。

一方、臓器移植に関連して、従来「移植支援室」であったものが女子医大での移植医療の発展に伴い「移植支援部」へと改組され、新たに「移植管理科」が新設される予定です。現在、移植管理科は石田先生が兼務されておりますが、いずれは移植管理科が主務となり女子医大の移植医療全般の管理を行っていくこととなります。もちろん、石田先生には泌尿器科を兼務していただき腎移植医療の臨床にも働いていただくこととなりますのでこれまで以上に忙しくなるものと思います。また、ここのところ移植患者さんの増加に対応しきれなくなりつつあったのですが、6月からは腎移植部門の新たなスタッフをして大阪大学から角田先生が赴任される予定です。

大学法人の動きとしては、昨年築90年を超えていた1号館、2号館が取り壊され医学部・看護学部の新校舎建築が始まりました。さらに、並行して来年度中に既存病棟すべての耐震化が完了する予定です。すでに手術室およびICUの統一と中央化は進んでおり今年6月には中央病棟、東病棟に新設された手術室、ICUでほとんどのオペが行われることになります。中央側のオペ室は19室となり、ICU、HCUで33ベッドを確保することができました。

さらに何とか今年度中の病院収支の黒字化を求められており、風評による患者数の減少などありかなり厳しい状況ですが病院職員の皆さんと一致団結してこの難局を乗り越えようと思っています。大学病院本院は昨年に引き続き今年も赤字決算となりましたが昨年の30億円近い赤字から何とか赤字幅を小さくすることができております。法人からは来年度中の病院収支の黒字化を求められており、風評による患者数の減少などありかなり厳しい状況ですが病院職員の皆さんと一致団結してこの難局を乗り越えようと思っています。厳しい状況ではありますが臨床現場から見た収支はプラス材料が多く何とか来年度中の黒字化が見えてきている状況です。

昨年に続き、泌尿器科診療は大きな伸びを見せています。腎移植は週3件、ロボット支援下腎部分切除手術が週4-6件、ロボット支援下前立腺全摘出術が週2-3件と症例数を増加させています。患者さんに信頼される高度な医療を安全に行い、好成績を残してきていることが評価されて、このような厳しい状況でも症例を増やすことができているのではないかと思っています。現在、ダビンチなしの泌尿器科診療は考えられずダビンチが法人内すべての医療施設に導入されたことは若い先生方の臨床修練を考えたとき非常に良かったと思います。

八千代医療センターでは今年度、500ベッドへの増床、ユニット系の新設などがあり大きく発展しております。昨年10月にはダビンチが導入され順調にロボット支援下手術の症例数が伸びています。八千代市はじめ地域からの八千代医療センターへの期待は非常に大きなものがあり、泌尿器科としても増員などによりスタッフの増強を進める予定です。

研究面では、今年は大きな変化があります。平井先生の留学に伴いやや研究室の指導体制が脆弱となっていましたが、この4月から3名のPhDが赴任してくることとなり研究面での指導が非常に良くなるものと考えています。今年も新たに3名の大学院生が入学し総勢10名を超える研究員体制となります。すでに研究の成果は一流の英文雑誌に多数採用されており非常に嬉しく思っています。免疫トレランスの実験はいよいよ大動物での実験が視野に入りつつあります。また、京大の大学院に2名の大学院生が在籍中ですが、今年、吉田先生が立派な研究を行い北大から戻られ臨床に復帰し、大きな力になりつつあります。

後期研修の過程に1年前後の研究室配属をする案も昨年は実行されませんでしたが、今年は何とか実現に向けて頑張りたいと思います。研修の過程で一時期きちんとした基礎研究に取り組むことはその後の長い臨床医生活に非常に大きな意味があると確信しており何とか基礎研究室配属を推し進めていきたいと考えています。

最後に、昨年もこの欄で書きましたが、病院でこのような厳しい状況が続いている一方で、院長職の傍ら何とか週2回の外来、週3-5件の手術を行うことができているのは泌尿器科のスタッフの先生方はじめ泌尿器科チームの献身的な助力があってのことと感謝しています。

今年も更なる飛躍を期して、医教員の皆さんとともに、革新的、野心的な試みに挑戦していきたいと思っています。皆さんとともに「至誠と愛」の理念のもと、前を向いて笑顔で一緒に進みましょう。 至誠通天!

2017年3月 ロンドンでのEAUからの帰国の機中にて
田邉一成


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