東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2022年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2023年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2023年度の目標6.業績目録7.あとがき

4. 東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2023年度の目標 >> 腎移植・腎不全・腎血管外科部門

年報

2022年度もあと1週間余りで終わろうとしている。今年もコロナに怯えコロナで終わる1年間であった。仲間や患者さんの多くが罹患しているのを横目に見ながら、若いときにさまざまなスポーツで鍛えてきたというものの私の体力ではとても乗り越えられないと変な自信があった。5回のワクチンこそ乗り切ってきたが、5回目は本当にきつく下痢や嘔吐をしながら手術場で膵臓腎臓同時移植を終了した。来年もこのコロナがジ.エンドを迎える日は程遠く、マスクを外せる日はいつ来るのだろう、と怯えているのは私だけなのだろうか。

そんな中、今年も週に3回の生体腎移植と月に1回程度の献腎移植をやり遂げた。2回の病棟閉鎖を余儀なくされ、やることもなく手術のないことってこんなに暇なのかと空いた時間を使って映画を見たりして暇を持て余した。

そんな中でも印象に残っている移植が2つある。1つ目は赤ん坊から提供されたエンブロック移植である。サイズミスマッチから赤ちゃんの腎臓を移植する場合には50グラム以下の一1つだけの腎臓では機能的には成人には足らずに2つの腎臓を同時に大動脈と大静脈を用いてレシピエントに吻合するものである。移植の手技自体は吻合する場所がグラフト側で若干異なるがデザインに注意すればさして血管吻合に困難なことなことはない。問題は赤ちゃん腎臓の尿管の細さである。昨年2例行ったエンブロックの移植では1例目の腎臓を水腎でダメにしてしまった。もともと片側腎は低機能ではあったようだが加えて尿管が極めて細くいつもより細目のDJカテーテルが必要であった。2例共に今も尚レシピエントは透析離脱し、クレアチニン値も1~2㎎/㎗程度で良好に推移している。

印象に残っている2つ目は腎不全に隠れた血液疾患の問題である。ある種の血液疾患、特に形質細胞腫のような疾患ではガンマグロブリンの軽鎖、重鎖をとも大量に産生し臓器を問わず沈着する。このような患者さんの背景を知らずして腎臓移植を受けて臓器をもらっても腎臓は瞬く間に臓器障害を起こす患者さんがいる(起こさない患者さんもいる)。このような事例を昨年に経験した。献腎ならばなんとか許されるかもしれないが、生体腎ではドナーを犠牲にしている反面、非常に悔いが残るのも事実である。この患者さんは幸い移植内科医に見つけていただき血液疾患の治療を開始するにいたり、腎機能もすっかり改善している。

昨年はこの年報でコロナワクチン接種と移植についてお話しした。

まだまだ年報の話のネタはつくことを知らないようである。だから移植は面白い!!!

石田英樹


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