東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 設立趣意書会則
東京女子医科大学泌尿器科 腎泌尿器癌研究会 The Society of Urological Disease at Tokyo Women's Medical University
■ 2010年度年報
ホーム1.はじめに2.医局構成・新入局員紹介3.東京女子医科大学腎センター泌尿器科および関連病院入院・外来・手術統計4.東京女子医科大学泌尿器科学教室 活動報告・2011年度の目標5.関連および協力施設 活動報告・2011年度の目標6.業績目録7.あとがき

1. はじめに

はじめに

今年は昨年度末、3月11日の大震災で日本は未曾有の危機に瀕しました。いまだ、多くの行方不明者がおられ、原発もいまだ完全には安定化していない状況ですが、前に向かって進まなければいけません。関連施設のいわき泌尿器科では、透析機材も極端な不足から透析続行が不可能となり、透析患者の避難などで大変困難な状況を強いられました。しかし、幸いにして大学透析室、東京都などの多くの人々の助けがあり何とか診療を再開し、避難していた透析患者さんのほとんどがいわきに戻ることができました。この場を借りてお世話になった先生方にまずはお礼を申し上げたいと思います。

さて、いよいよ2011年となり私が教授就任後5年経過し6年目に突入することとなりました。6年目となると私たちにとっては飛躍の年となります。今年は入局者も7名と最多となり、これまでの路線から大きく一歩を踏み出しこの5年間に蓄積、確立したノウハウを利用しつつ、育成されたスタッフのみなさんに大いに活躍していただいて大きく飛躍するべき時期になってきたと思います。特に震災によるさまざまな問題点は、今後の私たちの進むべき道への道しるべを示してくれることになったともいえます。ピンチをチャンスにすべく大いに頑張りたいと思います。

今年は大きな変革がいくつかあります。

まず、青山病院での手術の開始があげられます。もともと昨年の計画にはなかったのですが、青山病院の業務の大幅な変更にともない青山病院のオペ室を利用した手術の依頼が大学からありました。もともと本院のオペ件数が制限されていて困っていたところでしたのでさっそく引き受けて今後オペ件数の大幅な増加に向けて活動が開始されました。最初は週5-10件のオペから開始ですが、最終的に麻酔の常勤医などができれば週15件から20件のオペを目標にできればと考えております。症例が10例こえたところで班長もおいて専門分化した班体制で効率よく高度の研修ができるようにしたいと考えております。とりあえず、TUL関連、TUR-P、TUR-Bt、ラパロ前立腺全摘出などを主軸に考えております。

ロボット手術の導入
いわき泌尿器科との共同研究でダビンチの導入が決まり4月からの稼働予定でしたが、震災の影響で7月頃からの稼働になるものと思われます。現在、米国の泌尿器科オペの相当数がロボットによって行われており今後もこの傾向はさらに強まりそうです。前立腺癌の80%を初めてとして腎がん部分切除、膀胱全摘出術、など大きくその適応が広がりそうです。まずは大学で自費患者を対象として前立腺癌のオペから開始されることになりました。現在、ロボット手術の開始に向けて、倫理委員会、オペの研修などなど、臨床の開始にむけて鋭意準備中です。今年はこのロボット手術の導入により大きく臨床が進化していくものと思われます。

研究では今年は一段の飛躍が期待されます。大学院生は今年、飯田先生が卒業し留学しましたが、新たに沢田先生が入学し、活気にあふれつつあります。4月からは大久保病院より帰局した尾本、および田邉で大学院教育、研究支援体制を強化し、理科大学、生命科学センター免疫部門との連携も強化されます。移植病理、移植免疫、免疫寛容、抗がん療法などの基礎研究が行われていますが、今年はジュニアスタッフの先生も研究に参加できるような体制がようやくできそうな状況となってきました。また、年間30編以上の英文論文出版を目指して体制つくりが急がれます。

臨床教育に関しては、昨年同様にさらなる充実に向けて多くの改善を計画しています。朝の短い時間を利用して最大限の教育効果がでるような工夫が必要となります。
朝のカンファは、病棟カンファの時間短縮、英語によるプレゼンテーションを確実に行います。今年も各国からの留学生がたくさん来ることになっており、このような状況を考えて行うものですが、今後の国際化に向けての準備でもあります。また、プレゼンの内容も外来サマリーの棒読みではなくきちんとしたまとめを手際よく話してもらおうと考えています。また、抄読会もいよいよ開始されさらにアカデミックな環境が整うことになります。腹腔鏡技術認定医については昨年の受験者5名は全員合格となりました。全国の平均合格率が56%ですからかなり良い成績となりました。これも、多くのスタッフの先生方の指導の賜物と思って感謝しております。今年も5名前後の研修が予定されており今年10月の申請に向けての研修が計画されています。

また、病院全体としてさまざまな改革が行われていますが、臓器移植支援室が発足することとなり、また消火器外科には京都大学より江川先生が生体肝移植を行うべく着任されました。今後、当科の腎移植を含め臓器移植全体について大学としての再編が始まるものと考えられます。

今の頑張が5年後の飛躍の栄養源となることを肝に銘じてしっかり頑張りたいと思います。

2011年5月 米国ロサンジェルスにて
田邉 一成

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